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最適な録音レベルとは

PCで作成した音声ファイルの録音レベルはどのくらいが良いのでしょうか。結論から言うと目一杯ということになります。目一杯というのはデジタル音声の限界ということです。数値で表すと0dB(デシベル)です。ピークが0dBを超えないギリギリにすると言うことです。

なぜかと言うとそれが業界の、少なくともポピュラー音楽業界の標準だからです。たとえば誰かが、iTunesで音楽を聴いていたとします。0dBいっぱいに調整された音源です。それに合わせてマスターボリュームが調整されているでしょう。その後、あなたの録音した朗読音声を再生しました。もし、その音量がとても小さかったとしたら、その人はマスターボリュームを上げなければいけません。そして朗読を聴き終わってまた音楽を再生しました。すると、とてつもなく大きな音で音楽が鳴り、その人は慌ててボリュームを下げました。こんなことが起こりかねません。もちろん、音楽の音源どうしでも音量の差はありますが、たいがい微調整程度で済むでしょう。

では、具体的にどうすればいいのでしょうか。

最終段階では音声編集ソフトでノーマライズということをします。それだけです。 ただ、録音時にもレベルを意識する必要があるでしょう。 理屈の説明は省きますが、1/10のレベルで録音されたものを1のレベルにした音は、初めから1のレベルで録音した音よりも音質が劣ります。また、低いレベルで録音した場合にあまり気にならなかったノイズがレベルを上げることによって目立つということもあります。

それから、音量差というものも考慮しなければなりません。ノーマライズというのは最大音を0dBになるようにすることですから、一部分で飛び抜けてレベルが高いとそれに合わせて調整され、結果的に全体のレベルがあまり上がらないことになります。これは、音量差がないように読むというのが一番ですが、そうならない場合は音声編集ソフトで極端にレベルの高い部分を選択してそこだけレベルを下げてやるとか、リミッターやコンプレッサーで音量差を少なくする必要があるでしょう。

posted by rodoku_ole at 2013-03-07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 自宅録音ガイド

iPhoneでの高音質録音

最近はスマートフォンの所有率がかなり高くなっていますが、スマートフォンには様々な機能があり、その中には録音機能もあります。仕組はICレコーダーと同じで、16bit/44.1kHzリニアPCMの録音もできますから、録音専用機に劣らない機能と性能を内包していると言えます。

以下、Lightning端子接続のiPhone 5以降を対象として記述します。

マイクの選択

iPhone内蔵マイクは聴くに絶え得る音ではありますが、この記事群の「良い音で」という趣旨からすると対象外でしょう。とすると使うのは外付けマイクということになりますが、それらの中でLightning端子接続で楽器・音響機器メーカーから出ている主なものを挙げてみます。(2017年6月現在)

外付けといっても、iPhoneに直接挿すコンパクトな物から、ケーブルで接続する標準的な形状の物もあります。

タイプ 製品名 指向性 周波数特性 最大音圧 感度 S/N比 分解能 実勢価格    その他      
直挿し 単一 20〜20kHz 120dB -42.0dB 75.1dB 96kHz/24bit 17,000円 iPhone 7は対象外
可変 130dB 44.1k, 48kHz/16bit 7,000円 X-Y型
ヘッドフォン端子あり
可変 120dB 44.1k, 48kHz/16bit 7,500円 S-M型
ヘッドフォン端子あり
可変 20〜20kHz 120dB -37dB 48kHz/24bit 19,000円
単一 40〜20kHz 115dB 44.1k, 48kHz/24bit 14,500円
卓上設置 単一 20〜20kHz 130dB -40dB 55dB 48kHz/24bit 14,000円 ヘッドフォン端子あり
USBでPCに接続可
単一 96kHz/24bit 23,000円 USBでMacに接続可
単一 20Hz〜17kHz 132dB 78dB 48kHz/16bit 7,000円 USBマイクだが、USB-Lightningアダプター経由でiOSデバイスに接続可

※すべてステレオ、コンデンサーマイク(一部エレクトレット型)

私はこの記事を書いた2013年11月の時点ではiPhone 5を所有しており、Lightning端子で直接繋げる唯一の機種、iQ5を迷わず購入しました。2017年6月現在で選ぶとすれば、iQ7、もしくは奮発してMV88でしょうか。PCにも使え、ラージダイアフラムで低音がしっかり拾える卓上型も捨てがたいですね。

動画撮影とマイクの向き

音を録ることだけを考えると、iPhoneを縦に持った先の指向性があればいいのですが、動画を撮る時には画面と垂直方向の指向性が必要です。マイクの向きを変えられるiQ7、MV88などを選ぶ必要があります。

録音アプリの選択

録音アプリはiOS標準の「ボイスメモ」の他、実にたくさんあります。そのほとんどが会議等の録音をターゲットにしたものですが、ここでは外付マイクの性能を引き出せるメーカー対応アプリを挙げます。これらは専用というわけではなく、自由な組み合わせで使えますので、ダウンロードして使ってみて選べば良いと思います。

名称 開発元 エンコード方式 出力方法 編集機能 エフェクト 価格   その他    
ボイスメモ iOS標準 AAC(64kbps) AirDrop/
メッセージ/
メール/
iTunes
トリム 無料
HandyRecorder ZOOM リニアPCM、
AAC(64k/128k/160kbps)
SoundCloud/
iTunes
分割 6BANDEQ/
REVERB/
MASTERING
無料
PCM Recorder MK II TASCAM リニアPCM SoundCloud/
iTunes
リミッター/
ローカットフィルター
無料
RODE Rec RODE リニアPCM(24bit/最大96kHz[マイクによる])、
出力時AIFF/AAC等に変換可
SoundCloud/
Dropbox/
ブラウザ/
メール/
FTP/
iTunes
切る/
貼る/
トリム/
フェード/
Undo 他
コンプレッサー/
3BandEQ
720円 無料版あり
ShurePlus MOTIV SHURE リニアPCM(24bit/48kHz)、
出力時ALAC/AAC等に変換可
メール
テキスト
iTunes
Airdrop
Dropbox
なし コンプレッサー/リミッター/イコライザー
無料
iRig Recorder FREE IK Multimedia リニアPCM
出力はAAC
メール
Wi-Fi
FTP
SoundCloud
iTunes
なし 無料 App内課金で編集、wav書き出しなどの機能追加可
Apogee MetaRecorder Apogee Electronics リニアPCM(WAV/CAF 24bit/96kHz) Dropbox、iCloudDrive 無料 App内課金(600円)でFull版にアップグレード

※エンコード方式が“リニアPCM”となっているものは但し書きがないかぎり16bit/44.1kHz。

※出力方法が“iTunes”というのは、接続したPCのiTunesから取り出す方法。まずiTunesで「iPhone」のデバイスページにアクセスする。アプリが「ボイスメモ」の場合は「このiPhone上」ページで左メニューの「ボイスメモ」を開く。他のアプリの場合は「App」ページで「共有フォルダ」に出力される。
※出力方法が“ブラウザ”というのは、Wi-fiで接続されたPCのブラウザから指定のIPアドレスでiPhoneに接続し、そこからダウンロードする方法。

アプリによる音質の違いはあまりないのではないかと思います。基本的にはサポートしているエンコード次第と言っていいでしょう。

シンプルにただ録音したいのであればZOOM HandyRecorderがいちばん使いやすいのではないでしょうか。私は主にRODE Recを使っています。理由は細かな設定が出来ること。コンプレッサーとイコライザーの設定とか、編集時のレベルカーブの自由度とか。それから、ファイルの書き出し方法が多いこと。Dropbox出力があるのがいいです。

音質はいかに

iQ5とRODE Recの組み合わせで録ってみましたが、音質はいいです。どのくらい良いかは聴いて頂いた方がよく判るでしょうから、iPhone内蔵マイク、iQ5、ついでにH4n本体マイク、さらにH4nにRODE NT1-Aを繋いで録った音声をお聴き下さい。(マイクとの距離は15cmぐらい。ファイルはWAVで録ったものを192kbpsのMP3に変換)

iPhone内蔵マイク
iPhone+iQ5
H4n本体マイク
H4n+NT1-A

iPhone内蔵マイクとその他は明らかに性能の違いが分かるでしょう。他は、性能というよりも周波数特性の違いが顕れています。特にNT1-A。私の声は低域が強めですから、低域をしっかり拾うNT1-Aだとキツく感じます。逆にiQ5は若干低域が弱めのマイクだと思うのですが、丁度良く聴こえました。周波数特性は編集時にイコライザーで補正することも考慮して判断すれば良いのではないでしょうか。参考に、NT1-Aの音を補正した後の音もお聴き下さい。

その他注意点

録音中は機内モードに

ほとんどのアプリは電話の着信があると録音が停止してしまうようです。どうせ録音しながら電話に出ることはないでしょうから、録音中は機内モードにしておいた方がいいでしょう。これはバッテリーを無駄に消費しないためにも有効です。

ケースやバンパーによるマイク挿入不充分

ケースやバンパーを付けているとマイクの構造によってはスマートフォンとマイクの間にケースやバンパーがはさまる形になり、その分コネクターの挿さりが浅くなります。マイクの購入前に、いま使っているケースやバンパーに当たるかどうかを調べておいた方がいいでしょう。

ヘッドホンを挿すとヘッドホンのマイクが有効になる

iPhoneのヘッドホン端子はマイク入力も兼ねており、標準のヘッドホン(EarPods)にはマイクも付いています。右耳のコードの途中にボリュームコントローラーと一体になって付いています。ヘッドホンを端子に挿すとこれが有効になります。つまり、iPhone本体のマイクで録っているつもりが、実際はヘッドホンのマイクの音が録れていたということになります。これは、外付けマイクを接続した場合にも起こり得ます。実際にどうかは、アプリの仕様によるのかもしれませんが、全部調べている訳ではないので分かりません。ただ、iQ5のようにマイク本体に付いているヘッドホン端子の場合は大丈夫でしょう。




(2017/6/3 改訂)

posted by rodoku_ole at 2013-11-15 | Comment(1) | TrackBack(0) | 自宅録音ガイド

ライブ録音[マイキング編]

朗読をやっていると録音することよりも、むしろライブでの発表や公演のほうが機会が多いのではないでしょうか。そして、その音声を録音して残したいということもあるでしょう。その場合に、より質の高い録音をするにはどうしたらいいか、コツなどを纏めてみます。

ありがちな録音

最近はインターネットで朗読会の映像を公開しているかたが多いようです。おそらくビデオカメラ内蔵のマイクで音を拾っているのでしょう。会場の後方で拾った反響の多い音で録られているものが殆どです。また、会場内の定常的な、あるいは突発的なノイズが多く含まれているものも多いです。音だけを録ったものも、たぶん似たり寄ったりかと思います。

何がいけないのか

つまり何が問題なのかと言うと、いちばん必要な音(朗読者の声)がしっかり録れていず、副次的な音(反響音)や不要な音(雑音、拍手)の方が多いということです。専門的な用語を使うと、オンマイクでしっかり録ってやるべきところをオフマイクの音しか録れていないとも言えます。

オンマイクとオフマイク

マイクの使い方を音源からの距離によってオンオフに分類することがあります。オンマイクというのは、近距離で直接音を拾うやりかた。これに対し、音源から距離をとって倍音成分や反響音を録るやり方をオフマイク(で録る)と言います。オンマイクとオフマイクの境界は、ダイナミックマイクの場合は10cm程度、コンデンサーマイクの場合は20cm程度と言われています。

いかにしてオンマイクで録るか

オンマイクで録るということは朗読者の口元近くにマイクをセットすることを意味します。スピーカーで拡声する(いわゆるPA)ためにマイクを使う場合はそれを活用出来ます。ミキサーから信号を分けてもらう事が出来るかもしれません。
しかし、PA用マイクがない場合に録音のためだけに邪魔な物体を目の前に設置するのは避けたいですね。
オンマイクにも問題はあります。マイクに慣れていない朗読者の場合、マイクを吹いてしまったり、マイクとの距離を適切に保てないことが多くあります。

口元にマイクを設置出来ない場合は、可能な限りオンに近いオフマイクを設置します。朗読者の足もと辺りから口元を狙って、なるべく朗読者も観客も気にならないように設置しましょう。マイクの種類はオン/オフの差が出にくいコンデンサーマイクがいいです。指向性は狭い方がいいでしょう。ガンマイクとかバウンダリーマイクという選択肢もありますが、そこまで行くともうプロの領域なのでここでは考えません。

結局どうすれば

結局、より手軽にということを考えると、性能の良いマイクの付いたハンディーレコーダーを朗読者の近くに置くというのがベストかもしれません。この場合の注意は、ひとつは、朗読者の口元に向くように角度を付けて固定するということ。もうひとつは、いかに客席から目立たないように置くか。それから、録音ボタン等の操作をお客様の邪魔にならないようさりげなくするということでしょうか。

posted by rodoku_ole at 2014-05-15 | Comment(2) | 自宅録音ガイド

ライブ録音[設定編]

録音レベル設定

ハンディーレコーダーで録音すると言っても、ただ録音ボタンを押せばいいというものではありません。小さ過ぎず、音割れもなく、最適なレベルで録音出来るようレベル設定する必要があります。ライブ録音において、いちばんレベルが高くなるのはおそらく観客の拍手でしょう。想定し得る最大の拍手で振り切らない程度にレベルを合わせます。そうすると朗読の声は拍手に比べてかなり低いレベルになるでしょう。これは編集で補正します。レベルオーバーして歪んでしまった音をきれいにするのはほとんど不可能なのですが、小さいレベルを上げてやることはある程度の音質の低下はあるものの簡単です。

リミッターの使用

レコーダーにリミッター(もしくはコンプレッサー)が付いているならば使いましょう。ここでは、オン/オフだけの簡易タイプのリミッターについて書きます。とにかくオンにしてあとはレベルをいかに調整するかです。そのためにはリミッターが効いている状態というのが判る必要があります。なにか大きめの音を拾いながらレベルメーターを見て、ある位置以上メーターが上がらない、突破できずに潰されている感覚。その感覚があればリミッターが効いていると考えていいでしょう。
それで、通常よりやや大きめの朗読の音声レベルのときでもまだリミッターが効かないぐらい。朗読中の最大の音量のときに効くか効かないぐらいにレベルを設定します。

リミッターを効かせる場合は、拍手の音にレベルを合わせる必要はないでしょう。リミッターに思い切り潰してもらっていいと思います。

タグ:ライブ
posted by rodoku_ole at 2014-05-15 | Comment(0) | 自宅録音ガイド

ライブ録音[編集編]

録りっ放しのライブ音声はそのままではたいへん聴き難いものです。なので、聴きやすいものにするために、PC上で編集・調整の作業が必要になります。以下、その作業を順を追って説明します。

対象部分の取り出し

開演前、休憩中、終演後のざわざわ等、上演以外の部分をカットします。

突発的なノイズのカット

観客が物を落としたり咳をしたりということはよくあります。聴いてさほど気にならなくても、極端にレベルが飛び出しているとノーマライズの妨げになったりもします。ですから、そういうノイズは可能なかぎりカットしておきましょう。

大雑把なレベルの調整

一般的にコンサートなどでは、演奏に比べて拍手は大きくMCは小さくなります。朗読の場合は読みとMCとの差は音楽ほどではないにしても多少はあるでしょう。
これらの音量差は生で聴いている分にはさほど気にならないようですが、録音したものを聴く場合ははっきりとした差として認識できてしまうようです。
そこで、補正が必要になります。MCは大きく、拍手は小さく、拍手以外でも極端に声が大きい箇所があればレベルを落としてやります。

トーンの調整

マイクそのものの特性や設置方法、あるいは朗読者の声質などにより、特定周波数帯での音量過不足が感じられる場合があります。そういう場合にはバランスよく聴こえるようにイコライザーで補正します。ただし、高域/低域を持ち上げることによりノイズが目立ってしまって余り補正できない場合もあります。
逆に言うと、イコライザーによってノイズを低減できるということです。

音圧の均一化

全体の音圧を近づける事により聴きやすくします。これはコンプレッサーを使います。小さめの声でも程良く前に出て来て、大きな声でも五月蝿くない。そうなるように調整します。

レベルの最適化

ノーマライズといわれていますが実質は最大化です。その辺の詳しいことは「最適な録音レベルとは」を参照下さい。

posted by rodoku_ole at 2014-05-15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 自宅録音ガイド