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10月06日

朗読・ナレーションのための自宅録音ガイド トップ [朗読・ナレーションのための自宅録音ガイド]

この記事群は自宅で朗読やナレーションをより良い音で録音(や配信)するための知識を紹介していきます。とはいえ、知識や情報を紹介しているサイトは他にもたくさんあります。ですからそういった内容は他に任せて、ここでは筆者の考え方を提示することを重視していきます。

<記事一覧>

基本機能と機器構成[朗読・ナレーションのための自宅録音ガイド]

音声をマイクから取り込み、聴き手に届ける、あるいは自分で聞くまでの流れを説明します。

機能の流れ
  1. 空気の振動である音声をマイクで電気信号に変換する
  2. マイクからのアナログ信号をデジタルに変換する(AD変換)
  3. デジタル化された音声をファイルとして記録する(録音)
  4. 記録された音声を編集する
  5. 編集された音声をファイルに書き出す
  6. 書き出されたファイルを聴き手に届ける
  7. 書き出し後、あるいは録音・編集段階で音声を再生する。その際、デジタル化された音声はDA変換機能でアナログ信号に戻してやる必要がある

一般的にオーディオインターフェースにはAD変換とDA変換の両方の機能が含まれます。また、PCにもマイク・AD変換機能・DA変換機能・スピーカーが内蔵されていますが、音質が良いとは言えないので外部の機器を使うこととします。

AD変換機能を内蔵したUSBマイクという物もあります。また、ハンディーレコーダーの中にも性能の良いマイクを備えた物が多くあり、これを使うという選択もあります。

具体的な機器構成

いきなりですが、あなたの予算など考えずにおすすめの構成を組んでみます。

おすすめの構成
機器名 品名 価格 説明 他の選択
マイク MXL V67G-HE 15,000円 コンデンサー型。ショックマウント、ポップガード、ケース付属 ダイナミックマイクならばSHURE BETA57A
オーディオインターフェース Focusrite Scarlett Solo 13,000円 マイクプリアンプに定評のブランド。特に海外の宅録者に人気。 STEINBERG UR22 mkII
ヘッドホン CLASIC PRO CPH7000 4,500円 1万円以上の物には及ばないが充分な音質 安さに不安があるならばSONY MDR-CD900ST
マイクスタンド RODE PSA1 14,000円 卓上アーム型の中でも信頼性の高い一品 たまにしか録音しないのなら卓上型
マイクケープル CANARE EC03-B 2,000円 XLRメス-XLRオス 3m 安いの
波形編集ソフト Audacity 無料 WinでもMacでも使えて実績充分 有料のものが色々
合計 48,5000円

マイクの基本[朗読・ナレーションのための自宅録音ガイド]

いいマイク とは

良質な録音のためにはできるだけ良いマイクを選びたいですね。そもそも、良いマイクとはどんなマイクでしょう。それは必要な音だけをきれいに(正確に、魅力的に)取り込むマイクだと私は考えます。ノイズを拾わないのはもちろん、その音源の持ついちばん欲しい音の成分をしっかりと取り込むことが重要です。つまり、絶対的な良いマイクというものはなく、音源との相性が求められます。

では、朗読やナレーションの場合、いちばん欲しい成分とはどんなものでしょうか。ひとつは心地よい「音」。人の声に含まれている幅広い周波数を繊細に拾うこと。もう一つは「言葉」として聴き取りやすい成分。語音として明瞭で説得力の感じられる音です。これらの両立は意外と難しく、どちらを重視するか意図を持って選択しなればならないことも多いでしょう。

たとえばiPhoneの内蔵マイクは人の声の聴き取りやすさを重視してチューニングしている、つまり後者に特化していると言えるかもしれません。

マイクの種類

一般的に使われているマイクはダイナミックマイクというやつです。カラオケやイベントの司会などで使っているのは間違いなくこのタイプでしょう。
朗読やナレーションの音声を拾うには、やはり繊細に拾ってくれるマイクが欲しいです。プロのスタジオ録音の現場ではコンデンサーマイクが常識。コンデンサーマイクの特徴は、

  • 感度が良く、繊細に音を拾う
  • 録音可能な周波数帯域が広い
  • 感度がいい分、ノイズにも敏感
  • ダイナミックマイクと比べて高価
  • ミキサー等の接続機器からの電源供給が必要(ファンタム給電)
  • デリケート(物理的にも、電気的にも、環境的にも)
  • 近接効果が少ない
近接効果とは、音源をマイクに近づけるほど低域が強くなる効果です。ダイナミックマイクは近接効果を発揮する前提で近づけて使うのが基本です。こうすることにより、より太く・前に出る音になります。逆に言うと、距離をとりすぎると存在感の弱い音になりがちです。また、マイクとの距離の変化が音質(低域の強弱)に影響を与えやすいので、一定の距離を保つ必要性が高いです。
これに対し、コンデンサーマイクはダイナミックマイクよりも距離をとって使うのが普通です。

あくまでも私の主観ですが、ダイナミックマイクは芯・圧のある音、コンデンサーマイクは細やかに包み込む音という印象です。

ダイナミックマイクの例<SM58>
ダイナミックマイクの定番、SHURE SM58です。
SM58.JPG
SM58で録音した音声(マイクとの距離:10cm)
コンデンサーマイクの例<NT1-A>
コンデンサーマイクの中ではグレードは低いですがRODE NT1-Aを挙げます。
NT1-A.JPG
NT1-Aで録音した音声(マイクとの距離:20cm)
違う種類のコンデンサーマイク

ここまで書いていたコンデンサーマイクは実はDCバイアス型を指しています。これ以外にも「コンデンサー」と名の付くマイクがあり、広義ではコンデンサーマイクに含まれることも多いです。それ故、誤解や混乱を招くこともしばしばあるのでここではっきりしておきましょう。

エレクトレットコンデンサーマイク
  • 安価で、PCなどの内蔵マイクの他、多用途
  • 音質は価格なりで、細い
  • 数ボルトの電源が必要(プラグインパワー)
バックエレクトレット型コンデンサーマイク
  • 性能、価格ともにDCバイアス型とエレクトレット型の間くらい
  • 数ボルトの電源が必要

よくあるのが「高価なはずのコンデンサーマイクがこんなに低価格」と思って購入したら実はエレクトレットコンデンサーマイクで値段相当の性能でしかなかったという話。「コンデンサーマイク」という言葉に目が眩まないように気を付けましょう。

ダイアフラムの大きさ

コンデンサーマイクにおいて振動を受ける部分をダイアフラムと言い、大きいほど感度が良く、小さいほど高域がシャープになります。人の声にはラージダイアフラムが向いているようです。

サイドアドレスの罠

ラージダイアフラムのマイクは殆どは横方向から音を拾うようになっています。これをサイドアドレスといいます。よく間違えられます。Amazonなどでは販売者でさえ分かっていない例があるので注意が必要です。

サイドアドレスDOサイドアドレスDO NOT
※Blue Microphones のサイトより画像を借用

コンデンサーかダイナミックか

「いい音で録るならコンデンサーマイクでしょ」と言いたいところですが、それはいい音源といい環境が揃ってのこと。そうでない場合はダイナミックマイクという選択も充分あり得ます。以下の点を考慮しなければいけません。

  • コンデンサーマイクは感度がいいので必要のない音も拾いやすい。したがって雑音や反響の多い環境は向かない。
  • 同様に、発声が不安定で言語以外の音が出てしまうとそれもはっきり拾いやすい。
  • プロの現場ではほぼ間違いなくコンデンサーマイクを使うので、そういう現場で仕事をする機会のある人は普段から慣れておいた方がいい。
  • 同様に、舞台での朗読やMCの機会もあるかもしれないのいでダイナミックマイクの一本くらい持っていた方がいい。

ということを考えるとこうなります。↓

マイク選択チャート
種類と価格・性能の関係

性能と価格は比例すると仮定し、マイクの種類毎の価格帯と適性周波数範囲の傾向を図にしてみました。(筆者の個人的印象による)

マイク の種類と性能
余談
レビューでよく聞く「ホワイトノイズ」とは

YouTubeやAmazonのマイクレビューでホワイトノイズが多いとか少ないとかいうことをよく耳に・目にします。しかし、これは恐らく間違った使い方です。

まず、用語の定義の問題。そもそもホワイトノイズはすべての周波数で等しいエネルギーを持たせた人工的な音声です。意図せずマイクに乗ってしまうものではありません。ホワイトノイズに特性の似た「サー」というノイズを指しているのでしょうか。

もう一つは、ノイズの聞こえる量でマイクの性能を語っていいのかという問題。感度が良ければノイズもしっかり拾いますから、逆に感度の良さの結果としてのノイズかもしれません。指向性の狭さを謳ったマイクなら「ノイズガー、性能ガー」と言うのも分かります。また、完全無音の環境でマイクそのものから発している音を測定したのならばマイクの性能として判断しても差し支えないでしょうけど。

買ったマイクが思ったよりもノイズが多く入るという場合はまずマイクの選択が良くなかったのではないかと疑ってみましょう。いや、買う前に正しい選択をしましょう。環境を最適化しましょう。

マイクはどれがいい?[朗読・ナレーションのための自宅録音ガイド]

コンデンサーマイク

コストパフォーマンスで選んだ私の一押しはMXL V67G-HEです。

MXL V67G-HE.jpg
MXL V67G-HE
タイプコンデンサー
価格15,000円
付属品ケース、ショックマウント、ポップガード
特徴など海外ではDTM・Podcast系でよく使われている
使用実績色違い(緑/金)で有
その他
RODE NT1-A
NT1-A タイプコンデンサー
価格30,000円
付属品ポップガード付きショックマウント、マイクケーブル
特徴など宅録コンデンサーマイクの定番
使用実績
audio-technica AT2020
AT2020 タイプコンデンサー(バックエレクトレット)
価格10,000円
付属品専用スタンドマウント(スタンドに付けるためのアダプター)、マイクポーチ
特徴などこのメーカーは癖のない音が特徴。上位機種にAT2035AT2050など
使用実績
AKG C214
C214 タイプコンデンサー
価格36,000円
付属品ショックマウント、ウィンドスクリーン(スポンジカバー)、ケース
特徴などスタジオ定番マイクC414の流れを汲む
使用実績
ダイナミックマイク

雑音の拾いにくさで選んだ私の一押しはSHURE BETA57Aです。

BETA57A
SHURE BETA57A
タイプダイナミック
価格13,000円
付属品マイクホルダー、マイクポーチ
特徴などSM58より高域明瞭で指向性が狭い
使用実績
その他
SHURE SM58
SM58 タイプダイナミック
価格11,000円
付属品マイクホルダー、マイクポーチ
特徴などダイナミックマイクの超定番。BETA58Aという選択もあるが汎用性を考えるとこちらか
使用実績
BEHRINGER XM8500
XM8500 タイプダイナミック
価格2,500円
付属品マイクホルダー、マイクポーチ
特徴などSM58のコピーモデル。とりあえず安いのでやってみようというならこれ
使用実績
SHURE SM7B
C214 タイプダイナミック
価格50,000円
付属品
特徴などナレーション向けのハイレベル機。出力が弱いのでCloudlifter CL-1との併用が望ましい(これも高価)。
使用実績
USBマイク

オーディオインターフェースも必要なく、PCにUSBケーブルを挿すだけで、とにかく手軽なのがいいところ。短所は機種が少ないことでしょうか。

audio-technica AT2020USB+
AT2020USB タイプコンデンサー(バックエレクトレット)
価格16,000円
ヘッドホン端子
付属品簡易マイクホルダー、簡易マイクスタンド、USBケーブル、マイクポーチ
特徴など音質はAT2020と同等と思われる
使用実績
マランツプロ MPM1000U
MPM1000U タイプコンデンサー(バックエレクトレット)
価格7,000円
ヘッドホン端子
付属品簡易マイクホルダー、USBケーブル
特徴などこの価格でオーディオインターフェース内蔵でそこそこの性能。上位機種にMPM2000U
使用実績

USBマイクはポッドキャストや簡易的な録音向けかなと私は思っています。他にもBlue YetiAKG LYRARODE NT-USBなどもありますが、机の上にドーンと置いて配信するような用途で考えられているようで、「原稿や台本どこに置くんや!?」などと考えてしまいます。

ダイレクトモニタリング

マイクが拾った音をモニターする場合、デジタル変換されてPCに入った音声を再度アナログに戻してヘッドホンで聴くと遅延が生じます。それを避けるために、デジタルに変換する前の音声をモニター出来るようにすることをダイレクトモニタリングと言います。USBマイクの中にはヘッドホン端子を備えてダイレクトモニタリングを可能とした物も多いです。

10月07日

オーディオインターフェースはどれがいい?[朗読・ナレーションのための自宅録音ガイド]

一押しはFocusrite Scarlett Soloです。

Scarlett Solo
Focusrite Scarlett Solo
価格13,000円
分解能最大192kHz/24bit
接続USB2.0
特徴などマイクプリアンプで定評のあるメーカーで海外の宅録者によく使われている。1チャンネルで不足なら上位のScarlett 2i2もある
使用実績
その他
STEINBERG UR22 mkII
UR22 mkII 価格16,000円
分解能最大192kHz/24bit
接続USB2.0
特徴など低価格品の定番とも言われている
使用実績
SOLID STATE LOGIC SSL2
SSL2 価格29,000円
分解能最大192kHz/24bit
接続USB2.0
特徴など伝統あるミキシングコンソールメーカーによる初の小型機
使用実績

必須の機能は+48Vのファンタム給電、ダイレクトモニタリング機能あたりでしょうか。分解能はこれからは96kHz(サンプリング周波数)/24bit(量子化ビット数orビット深度)以上は欲しいです。たとえ最終データが44.1kHz/16bitやMP3だったとしても録音や編集はできるだけ高分解能のほうがいいと思います。

また、分解能以上に大事なのはマイクプリアンプの性能ではないでしょうか。マイクの信号は非常に弱いのでマイクプリアンプで増幅する必要があります。このとき、ただレベルを上げればいいわけではなく、デリケートな信号をいかに優しく受けてやるか、その受け方が音に影響を与えるようです。おすすめに上げた製品はいずれもマイクプリアンプの設計に定評のあるメーカーです。