[広告]
声とことばの磯貝メソッド
ヴォイスチェックサービス

11月15日

[自宅録音ガイド] iPhoneでの高音質録音

最近はスマートフォンの所有率がかなり高くなっていますが、スマートフォンには様々な機能があり、その中には録音機能もあります。仕組はICレコーダーと同じで、16bit/44.1kHzリニアPCMの録音もできますから、録音専用機に劣らない機能と性能を内包していると言えます。

以下、私の所有しているiPhone(5以降)の場合について記述します。

マイクの選択

iPhone内蔵マイクは当てになりません。聴くに絶え得る音ではありますが、この記事群の「良い音で」という趣旨からすると対象外でしょう。とすると使うのは外付けマイクということになりますが、それらの中で楽器・音響機器メーカーから出ている主なものを挙げてみます。(2016年7月現在)

製品名 接続方式 指向性 周波数特性 最大音圧 感度 S/N比 実勢価格 その他
RODE iXY-L Lightning 単一 20Hz-20kHz 120dB -42.0dB 75.1dB 20,000円 24bit/96kHz対応
TASCAM iM2 30ピンDock 単一 10Hz〜20kHz 125dB 95dB 2,000円 30ピン⇔Lightning変換が必要
ZOOM iQ5 Lightning 可変 120dB 9,000円 ヘッドフォン端子あり
ZOOM iQ6 Lightning 可変 130dB 9,000円 X-Y型
ヘッドフォン端子あり
ZOOM iQ7 Lightning 可変 120dB 9,500円 S-M型
ヘッドフォン端子あり
IK Multimedia iRig Mic Field Lightning 単一 40Hz〜20kHz 115dB 13,000円 44.1kHzまたは48kHz/24bit
SHURE MV88 Lightning 可変 20Hz〜20kHz 120dB -37dB 20,000円 48kHz/24bit
MicW i266 ヘッドホン端子 単一 20Hz〜20kHz -40dB 55dB 15,000円 他にも機種有

※すべてステレオ、コンデンサーマイク(一部エレクトレット型)

で、この中からどれを選んだか。この記事を書いた2013年11月の時点で、私はiPhone 5を所有しており、Lightning端子で直接繋げる唯一の機種、iQ5を迷わず購入しました。
iQ5の良いところはマイクの向きが割と自由に変えられるところです。音を録ることだけを考えると、iPhoneを縦に持った先の指向性があればいいのですが、動画を撮る時には画面と垂直方向の指向性が必要です。iQ5はマイク部分が地球儀のように球形になっており、緯/経それぞれ90度回転するので動画撮影時もOK。
逆に、地球儀の部分の耐久性がちょっと不安ではあるのですが。

2016年7月現在で選ぶとすれば、iQ7、もしくは奮発してMV88でしょうか。どちらもマイクの向きを変えられるので動画撮影もOKです。

録音アプリの選択

録音アプリはiOS標準の「ボイスメモ」の他、実にたくさんあります。そのほとんどが会議等の録音をターゲットにしたものですが、ここでは音楽をターゲットにしたもの(カテゴリーが「ミュージック」か否かで判断)に絞ります。外付マイクには対応したアプリが用意されているのですが専用というわけではなく、自由な組み合わせで使えます。

名称 開発元 エンコード方式 出力方法 編集機能 エフェクト 価格 その他
ボイスメモ iOS標準 AAC(64kbps) AirDrop/
メッセージ/
メール/
iTunes
トリム 無料
HandyRecorder ZOOM リニアPCM、
AAC(64k/128k/160kbps)
SoundCloud/
iTunes
分割 6BANDEQ/
REVERB/
MASTERING
無料
PCM Recorder MK II TASCAM リニアPCM SoundCloud/
iTunes
リミッター/
ローカットフィルター
無料
RODE Rec RODE リニアPCM(24bit/最大96kHz[マイクによる])、
出力時AIFF/AAC等に変換可
SoundCloud/
Dropbox/
ブラウザ/
メール/
FTP/
iTunes
切る/
貼る/
トリム/
フェード/
Undo 他
コンプレッサー/
3BandEQ
720円 無料版あり
ShurePlus MOTIV SHURE リニアPCM(24bit/48kHz)、
出力時ALAC/AAC等に変換可
メール
テキスト
iTunes
Airdrop
Dropbox
なし コンプレッサー/リミッター/イコライザー
無料
iRig Recorder FREE IK Multimedia リニアPCM
出力はAAC
メール
Wi-Fi
FTP
SoundCloud
iTunes
なし 無料 App内課金で編集、wav書き出しなどの機能追加可
Cloud Audio Recorder YAMAHA リニアPCM SoundCloud トリム/
ノーマライズ/
Undo
Equalizer/
Noise Suppression/
Reverb/
Gain
無料

※エンコード方式が“リニアPCM”となっているものは但し書きがないかぎり16bit/44.1kHz。

※出力方法が“iTunes”というのは、接続したPCのiTunesから取り出す方法。まずiTunesで「iPhone」のデバイスページにアクセスする。アプリが「ボイスメモ」の場合は「このiPhone上」ページで左メニューの「ボイスメモ」を開く。他のアプリの場合は「App」ページで「共有フォルダ」に出力される。
※出力方法が“ブラウザ”というのは、Wi-fiで接続されたPCのブラウザから指定のIPアドレスでiPhoneに接続し、そこからダウンロードする方法。

アプリによる音質の違いはあまりないのではないかと思います。基本的にはサポートしているエンコード次第と言っていいでしょう。

個別の感想
ZOOM HandyRecorder

シンプルにただ録音したいのであれば、いちばん使いやすいのではないでしょうか。

TASCAM PCM Recorder

こちらもHandyRecorderと同様、シンプルに使えます。ただ、レビューを読むと評判はよくないです。最新版で改善されているといいのですが。私が使った上で気になったのはエフェクトON/OFF等の設定が保存されないことですね。

RODE Rec

結局、私はこれを使うことにしました。理由は細かな設定が出来ること。コンプレッサーとイコライザーの設定とか、編集時のレベルカーブの自由度とか。それから、ファイルの書き出し方法が多いこと。Dropboxがあるのがいいです。ただし、使い方が分かりづらいです。アイコンや文字と機能の対応を憶えてしまえばそう難しくはないのだと思いますが、マニュアルも英語の文字ばかりのものしかなくて、理解するのに時間を要しました。

YAMAHA Cloud Audio Recorder

いちばん面白いのはこれです。オープンリールレコーダーを模した画面でリールが回り、VUメーターが動く。ただ、録音時間最大30分の制限があったり、アプリを抜けると録音が止ったり、道具としては不充分だと感じました。

音質はいかに

iQ5とRODE Recの組み合わせで録ってみましたが、音質はいいです。どのくらい良いかは聴いて頂いた方がよく判るでしょうから、iPhone内蔵マイク、iQ5、ついでにH4n本体マイク、さらにH4nにRODE NT1-Aを繋いで録った音声をお聴き下さい。(マイクとの距離は15cmぐらい。ファイルはWAVで録ったものを192kbpsのMP3に変換)

iPhone内蔵マイク
iPhone+iQ5
H4n本体マイク
H4n+NT1-A

iPhone内蔵マイクとその他は明らかに性能の違いが分かるでしょう。他は、性能というよりも周波数特性の違いが顕れています。特にNT1-A。私の声は低域が強めですから、低域をしっかり拾うNT1-Aだとキツく感じます。逆にiQ5は若干低域が弱めのマイクだと思うのですが、丁度良く聴こえました。周波数特性は編集時にイコライザーで補正することも考慮して判断すれば良いのではないでしょうか。参考に、NT1-Aの音を補正した後の音もお聴き下さい。

その他注意点

録音中は機内モードに

ほとんどのアプリは電話の着信があると録音が停止してしまうようです。どうせ録音しながら電話に出ることはないでしょうから、録音中は機内モードにしておいた方がいいでしょう。これはバッテリーを無駄に消費しないためにも有効です。

ケースやバンパーによるマイク挿入不充分

ケースやバンパーを付けているとマイクの構造によってはスマートフォンとマイクの間にケースやバンパーがはさまる形になり、その分コネクターの挿さりが浅くなります。マイクの購入前に、いま使っているケースやバンパーに当たるかどうかを調べておいた方がいいでしょう。

ヘッドホンを挿すとヘッドホンのマイクが有効になる

iPhoneのヘッドホン端子はマイク入力も兼ねており、標準のヘッドホン(EarPods)にはマイクも付いています。右耳のコードの途中にボリュームコントローラーと一体になって付いています。ヘッドホンを端子に挿すとこれが有効になります。つまり、iPhone本体のマイクで録っているつもりが、実際はヘッドホンのマイクの音が録れていたということになります。これは、外付けマイクを接続した場合にも起こり得ます。実際にどうかは、アプリの仕様によるのかもしれませんが、全部調べている訳ではないので分かりません。ただ、iQ5のようにマイク本体に付いているヘッドホン端子の場合は大丈夫でしょう。




(2016/7/1 改訂)

posted by rodoku_ole at 2013-11-15 | Comment(1) | TrackBack(0) | 自宅録音ガイド